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2015 International CESに行ってきました

2015/01/23

CES2015_Top

武田です。

1/6-9にアメリカ・ラスベガスで開催された2015 International CES(以下CES)の視察へ行ってきましたのでご報告します。

CESとは

CESは"Comsumer Electronics Show"の略で、CEA(全米家電協会)コンシューマ・エレクトロニクス分野では世界最大の見本市です。

CES公式Webサイト

毎年ネバダ州ラスベガスで開催され、世界中の企業が最新技術やプロトタイプの展示を行っています。
近年は家電メーカーのみならず、IT業界・自動車業界からの参加も盛んでますます注目度は上がっており、昨年は16万人を超える参加があったそうです。

今年の傾向

IoT (Internet of Things) やIoE (Internet of Everything) が全体の大きなテーマとして見られ、その中でもWearable, Connected Car, VRといった分野はセッションを含め大きな注目を集めていました。気になったプロダクト・テーマを合わせてご紹介したいと思います。

IoT

各社なんらかの形でIoTとして自社のプロダクトを紹介しており、盛り上がりが感じられました。

Qualcommは自身が加盟するIoT標準化団体"AllSeen Alliance"加盟企業のものを中心に、家を模したスペースの中に多くのスマートホーム関連製品を展示・デモツアーを実施していました。

AllSeen AllianceにはQualcommの他にMicrosoft, SONY, Panasonic, SHARP, LG等が加盟していますが、IoT標準化団体はこの他にOpen Interconnect ConsortiumやIndustrial Internet Consortium等があり、複数の団体に加盟する企業もあるという状況で、今後どこが主導権を握るのか注目です。

IntelではKeynoteで発表したウェアラブル用超小型コンピュータCurieが大きな話題でしたが、ブースではKeynoteでももう一つの目玉となった3Dカメラ技術Intel RealSense Technologyを応用し、シューティングゲームを組み合わせたデモや、ドローンを安全に飛行させるシステム等が多く展示されていました。

RealSense x ゲーム: 手の開き方で発射する弾の種類が変わる
CES2015_intel_realsense

RealSense 3Dカメラ x  ドローン
CES2015_Intel_360

CESでは展示だけでなく様々なテーマでセッションも行われていますが、IoTをテーマにしたセッションは各回満員に近い状態で、ものによっては立ち見がでていました。
盛り上がりの一方で、まだ各社探りながらのアプローチを行っており、指針や提言・事例などを求めているということが伺えた一面でした。

Qualcommブース
CES2015_Qualcomm

Connected Car (コネクテッドカー)

この分野ではKeynoteで未来の自動車への大きなビジョンを語ったMercedes-Benzが話題を呼んでいました。
ブースも大盛況で、特にKeynoteでも登場したコンセプトカーはプレスでも近くまで行くのが難しい程の人気でした。

FordのKeynoteは、より現実的に、ビッグデータを用いた交通の最適化など社会的役割を担おうとする姿勢が伺え、両社の対照的なアプローチが印象的でした。

自動車業界はその他にも燃料電池車の特許公開などを発表したTOYOTAなど大手各社の出展がありました。ハードだけでなくソフト面のアプローチも多く見られ、背後で動くシステムなども重要になっていく中で、今後は従来の自動車メーカ以外からの出展もありそうです。

Mercedes-Benzのコンセプトカー F01 Luxury in Motion
CES2015_ Mercedes

Fordのコンセプトカー
CES2015_Ford

Wearable (ウェアラブル)

Wearable分野では、ウォッチ型デバイス、グラス型デバイスが多く出展されていました。

SONYは既存の眼鏡に装着するタイプのスマートグラスデバイスを展示していました。
片側のレンズの側部に装着し、片目で情報を観るかたちで、使用感はGoogle Glassと近いものを感じました。
会場ではナビゲーションやゴルフのラウンド時のサポートを行うデモを体験できました。
現在はプロトタイプとのことでしたが、手持ちの眼鏡に気軽に装着できるのは大きなポイントだと思います。

一昨年、昨年と国内でも話題の尽きなかったRingも出展を行っていました。
初期モデルから操作方法に若干の変更が加えられていましたが、以前触ったときよりも自然な動きで操作でき、好感触でした。
従来モデルに合わせて素材を変更した次世代モデルの展示も行われ、プレスも多く訪れており今回観たブースの中でも一際人が多かったように感じます。

SONY スマートグラス(プロトタイプ)
CES2015_SONY_Glass2
CES2015_SONY_glass1

Logbar Ring
CES2015_Ring

Sports Tech (スポーツテック)

SONY Smart Tennis Sensorは、自分のラケットにつけるだけでゲーム中の様々なデータをとりプレーの分析に使えるというものでした。既存ブランドに適応できるということで、手軽に利用できる点で魅力的だと思います。

また、国内でも話題となっているCerevoのスノボ用スマートバインディングXON Snow-1はCES DAILY (会場で配られている公式のデイリーレポート) 初日分の表紙を飾るなど非常に注目度が高かったです。
昨年ブラジルワールドカップでのドイツ代表の活躍もあり注目を集めているSportsTechですが、個人でも手の届くテクノロジーになりつつあると感じました。

SONY Smart Tennis Sensor
CES2015_SonyTennis
CES2015_SonyTennis2

Cerevo XON Snow-1
CES2015_Cerevo
CES2015_Cerevo2

その他

Eureka Parkというスタートアップが集まるゾーンでは、フランス・イスラエル発のスタートアップブースが多く目立ちました。
特にフランス企業は大手メーカを含め、優れたデザインの製品が多くありました。Withingsではスマートホームをテーマにした出展が多くありましたが、ITが暮らしにどんどん入り込んでくる中で、所有欲を刺激するような製品、見て・使って心地よいデザインはとても大切だと思います。機能面での差別化が難しくなってきたときに、こういったアプローチは有効だと改めて感じました。

Withings Welcome:玄関用顔認識カメラ
CES2015_netatmo

Withings Activite:スマートウォッチ
CES2015_WithingsActivite

ここに挙げた以外にも4K/8Kを中心としたTV、ドローン、VR・AR、3Dプリンタなどの分野でも多くの出展がありました。このあたりの分野は驚きがわかりやすくインパクトがあることもあり、デモはとても盛況でした。

Virtuix Omni:歩けるVRシステム
CES2015_virtuix

最後に

企業がそれぞれにAPIなどを公開し、外部とのコラボレーションと発展を期待する、というモデルはWebだけでなく家電などのプロダクトにまで浸透しつつあると改めて感じました。このモデルの中でどのポジションを取っていくのかは、Webサービスを手がける我々にとってもとても重要なことだと思っています。
ここ数年のRaspberry PiやIntel Edisonを中心とした超小型コンピュータの登場もあり、その流れは更に加速していくと思われます。そういった意味で、IoT元年と言われる2015年の幕開けにふさわしいCESだったのではないか、と思います。